公開日 2024.11.27  更新日 2024.11.29

飲食店をやめたいと感じる理由とは?転職活動の進め方も解説

飲食業は、楽しさや達成感も大きいですが、実際には厳しい環境の中で働かなければならないケースもあります。

たとえば長時間労働などの影響で、飲食業をやめたいと感じる人も少なくありません。

 

本記事では、飲食業をやめたいと感じる理由や退職の際の注意点などを詳しく解説します。

新しい環境に向けた準備を整えて、前向きに次の一歩を踏み出しましょう。

飲食業をやめたいと感じる理由

飲食業をやめたいと感じるおもな理由は、下記のとおりです。

  • 労働時間が長い
  • 生活スタイルに合わない
  • 慢性的な人手不足
  • 連休がとれない
  • 給料が安い
  • 体力が必要
  • 収入が安定しない

詳しく解説します。

労働時間が長い

飲食業界では朝から夜遅くまで働くことが多いため、プライベートの時間が十分にとれません。

たとえば、ランチ営業を行う店舗の場合は、早朝に仕込みを始め、夜遅くに片付けが終わるケースが多いです。

 

厚生労働省によると、「令和5年度の毎月勤労統計調査」では、主要な16産業の中で飲食サービス業は、174.3時間とワースト2位の労働時間の長さでした。

 

順位(ワースト) 企業規模・産業 月間実労働時間
1位 運輸業・郵便業 180時間
2位 飲食サービス業 174.3時間
3位 建設業 168.9時間

 

長時間労働は、体力的にも精神的にも負担が大きく、休日も体力回復にあてる必要があります。

そのため、充実した生活が送りにくい環境といえます。

 

家庭を持つ人や、趣味に時間を割きたい人はストレスを感じやすいでしょう。

生活スタイルに合わない

不規則なシフト制も、飲食業をやめたい理由の1つです。

飲食業は、勤務時間が週ごとに変わることも珍しくありません。

土日祝祭日も休まず営業する店舗が多く、従業員にも休日出勤が求められます。

そのため、友人や家族との予定が合わせづらいことに悩みを抱える人も多くなりがちです。

 

夜勤を中心にシフトが組まれると、日中の活動時間が制限され、休日も家族や友人と過ごす機会が減ります。

このような生活スタイルのズレが続くと、次第に精神的なストレスが蓄積し、やめたいと感じやすくなるでしょう。

慢性的な人手不足

長時間労働と低給与が相まって、飲食店では人材確保が困難な状況です。

 

帝国データバンクによると、「人手不足に対する企業の動向調査」では、企業の51.0%が正社員の人手不足を感じています。

 

忙しいランチタイムやディナータイムに必要な人数が揃わなければ、1人あたりの仕事量が増えます。

休憩もとりづらく、短期間で体力が消耗されれば、気力が続かずやめたくなる理由になるでしょう。

 

また、飲食業界は離職率も高い特徴があります。

厚生労働省の「令和4年雇用動向調査」では、飲食サービス業の離職率は26.8%と主要産業の中でもっとも高いです。

 

 

順位(ワースト) 企業規模・産業 離職率
1位 宿泊業・飲食サービス業 26.8%
2位 サービス業

(ほかに分類されないもの)

19.4%
3位 生活関連サービス業・娯楽業 18.7%

 

新人が入っても早期退職するケースも多く、長年働く従業員もストレスの原因となりがちです。

連休がとれない

飲食店は年中無休で営業する場合が多く、従業員の休暇もとりにくい環境にあります。

とくに土日や祝日がもっとも忙しいため、連休をとるのが難しいでしょう。

繁忙期の年末年始やゴールデンウィークは、出勤が増える傾向です。

 

厚生労働省が行った「労働者1人平均年次有給休暇の取得状況」の調査結果は、下記のとおりです。

 

順位(ワースト) 企業規模・産業 有休平均取得率(労働者1人あたり) 平均取得日数(労働者1人あたり)
1位 宿泊業・飲食サービス業 44.3% 6.6日
2位 卸売業・小売業 49.5% 8.7日
3位 教育・学習支援業 50.1% 9.0日

 

飲食サービス業は44.3%と、もっとも有給消化率が悪いことが分かります。

 

家族との旅行や友人との長期休暇の計画が立てにくいと、やりがいも感じられなくなるでしょう。

こうした現状に耐えられなくなり、飲食業をやめたいと考える従業員が多くなります。

給料が安い

飲食業界は、長時間労働にもかかわらず、給与面での満足度は低い傾向にあります。

厚生労働省の「令和4年度の賃金構造基本統計調査」では、宿泊業・飲食サービス業は、もっとも賃金が低い285.3万円でした。

 

また、国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、全職種の平均年収は458万円です。

 

個人経営の店舗では、営業利益が少ないためにスタッフへの給与も抑えられがちです。

 

長時間働いても生活費に余裕がなく、貯金が難しいと感じる人も多いでしょう。

やりがいやキャリア形成よりも、収入面での不満から飲食業をやめたいと考える人も多いのが実情です。

体力が必要

飲食業は立ち仕事が中心なため、忙しい日は休憩があまりとれないこともあります。

たとえば、調理担当であれば厨房の暑さに耐え、ホール担当であればお客様の対応や配膳で常に動き回らなければなりません。

 

体力に自信があっても、年齢を重ねるにつれて肉体的に厳しく感じる場面が増えるでしょう。

収入が安定しない

個人経営の飲食店では、来客数に収入が左右されやすい傾向にあります。

季節や天候に影響を受けやすいため、売上が少ない月には給料が減ることも。

 

アルバイトやパートの場合、シフトに入れる時間が限られると、収入が減少します。

収入の安定を求める人にとっては不安要素になるでしょう。

飲食業界をやめたほうがよい人の特徴

飲食業界をやめたほうがよい人の特徴は、下記のとおりです。

  • 仕事と生活のバランスを重視する人
  • 休日や自由な時間を大切にしたい人
  • 体力的な負担が大きいと感じる人
  • 安定した収入を得たい人
  • 新しい環境でのチャレンジを望む人

飲食業界での長時間労働や不規則な勤務にストレスを感じる方は、ほかの業界への転職を検討するのが賢明です。

安定した収入を求める人には、事務職やオフィスワークのほうが向いている場合があります。

家族との時間を大切にしたい人や、プライベートを充実させたいと考える人にとって、飲食業界のシフト制や土日出勤は大きな負担となりがちです。

 

また、体力に自信がない人や、新しい環境でのチャレンジを望む人も、ほかの職業に転職したほうがよいでしょう。

飲食業界では、長時間の立ち仕事が求められ、忙しい時間帯には素早い対応が必要なため、精神的にも肉体的にも負荷がかかります。

このため、体力に限界を感じた場合は、キャリアチェンジをおすすめします。

飲食店をやめるリスク

飲食店をやめる際のリスクは、下記の3つです。

  • 思っていた仕事内容と違う
  • 人間関係を1から作る必要がある
  • 転職先の会社・社風に馴染めない

詳しく見ていきましょう。

思っていた仕事内容と違う

異業種への転職は、想像していた仕事とは異なる業務内容になる可能性があります。

接客業からオフィスワークに転職した場合、事務作業が中心となり、対人関係が少ない業務に違和感を覚えることも。

これによって、イメージとのズレができてしまい、仕事が退屈に感じる場合があります。

 

転職活動の際には、具体的な業務内容や求められるスキルを確認しましょう。1年間や2年間などの期限を決めて、ほかの業種にチャレンジするのもおすすめです。

人間関係を1から作る必要がある

新しい職場での人間関係は、はじめから構築しなければなりません。

飲食業では、チームで協力して働く環境に慣れている場合が多いため、オフィスワークでの1人作業が増えると孤独を感じるかもしれません。

 

飲食業から転職するなら、接客業や営業職がおすすめです。

とくに接客業は、飲食業で得た経験を活かしやすく、転職後でもスムーズに仕事を覚えられる可能性があります。

 

また、営業職では、接客で得たコミュニケーション力を活かせるでしょう。

たとえば、飲食店でトラブルが発生した際の対応力も、営業職に活用できます。

未経験可の求人も多いため、飲食業からほかの業種に挑戦したい方に適しています。

 

なお、転職先の人数が多いと、すべての人と円滑にコミュニケーションをとるのは簡単ではありません。どの会社にも、合わない人は存在します。

 

とくに人間関係で転職した場合は、同じことの繰り返しになる可能性があります。

新しい人間関係に順応するためには、時間がかかることを前提に考えましょう。

転職先の会社・社風に馴染めない

転職先の会社の文化や社風が合わないと、仕事が長続きしない可能性が高いです。

たとえば、飲食業界での活気あふれる雰囲気に慣れていると、静かなオフィスでの単独作業には馴染めないと感じる場合があります。

 

転職前にリサーチを重ね、自分の価値観や働き方と一致する職場を選びましょう。

可能なら、入社前に社内見学をさせてもらい、実際の雰囲気を確認するのがおすすめです。

飲食業を退職する際の注意点

飲食業を退職する際は、下記3つの注意点を押さえておきましょう。

  • 注意点1.退職の意向は1ヶ月前に伝える
  • 注意点2.繁忙期は避ける
  • 注意点3.引き止められるケースが多い

詳しく解説します。

注意点1.退職の意向は1ヶ月前に伝える

退職の際、一般的に1ヶ月前には上司に意向を伝えるのがマナーです。

飲食業界は繁忙期の入れ替わりが難しいため、早めの相談が円満退職につながります。

1ヶ月前に伝えれば、後任の採用や引き継ぎの時間を確保できます。

 

書面での退職届も必要ですが、事前に口頭で相談しましょう。

次の職場に移る際に前職からの推薦状が必要になるケースもあるため、円満な退職で今後のキャリアにもよい影響を与えられます。

 

退職する意向を伝える際には、具体的な引き継ぎの準備を考えることが大切です。急な退職は避け、計画的に進めることで、お互いストレスなく仕事をやめられます。

注意点2.繁忙期は避ける

退職時期に繁忙期を避けるのは、周りの負担を減らすためにも重要です。

年末年始や大型連休前後にやめると、店舗全体に影響が及ぶ可能性があります。

 

たとえば、クリスマスの忙しい時期に退職を申し出ると、予約のキャンセルを余儀なくされる場合も。

年末年始・ゴールデンウィーク・お盆期間は避けるべきです。

 

また、下記のように、地域の特性による繁忙期にも配慮が必要です。

  • 観光シーズン
  • 入学・卒業シーズン

事前に店舗のカレンダーを確認し、店全体に余裕のある時期を選んでやめるのが理想的です。

これにより、周囲からの印象もよく、退職後も良好な関係が保てるでしょう。

注意点3.引き止められるケースが多い

人材不足が深刻な飲食業界では、退職を申し出ても引き止められる可能性が高いです。

給料を上げるから残ってほしいと提案を受けるケースもあります。

しかし、転職の意思が固まっているなら、自分のキャリア目標を明確に伝え、情に流されずに決断しましょう。

 

また、待遇改善の提案を受け入れる際は、勤務時間や給料など具体的な条件を書面で確認してください。

退職理由が人間関係や業務内容にあるなら、改善が可能か慎重に検討する必要があります。

安易な条件変更の約束に惑わされず、自身のキャリアプランに基づいた決断をしましょう。

まとめ

飲食業界は、やりがいや達成感も大きい一方で、厳しい環境にも直面します。

長時間労働や生活リズムの乱れ、人手不足など、スタッフが抱える課題はさまざまです。

そのため、飲食業をやめたいと考える人も少なくありません。

 

また、飲食業をやめるタイミングや、新しい職場への適応など、転職にはリスクも伴います。

しかし、自身に合った環境を見つけられれば、より充実した人生を送れるはずです。

 

退職を円満に進めるためにも、事前準備を十分に行い、新しい環境での再スタートをスムーズに切れるよう心掛けましょう。

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この記事の監修者

洋食転職ガイド編集部

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