公開日 2024.11.27 更新日 2024.11.29
飲食店の正社員の給料事情を解説!年収アップを狙う方法とは
飲食業に従事しており、自分の年収が相場より低いのではないかと感じている方も多いのではないでしょうか。
平均年収の観点では、飲食店の給与は決して高くはありません。
しかし、就労環境や自身の頑張り次第で、ほかの業界に引けを取らない給与を貰うことも可能です。
この記事では飲食店の年収事情や年収を上げる方法、有効な資格などを紹介しています。
やりがいを感じているものの、給与面に不満を持っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
飲食業界の平均年収
令和4年に国税庁が行った調査では、「宿泊業・飲食サービス業」の平均年収は268万円で、全業種中最下位となっています。
「電気・ガス・熱供給・水道業」が747万円ともっとも高く、飲食業とは500万円近い差があります。
また、全体の平均値は458万円です。
飲食業の平均値が200万円程度下回っていることから、給与水準が低い業界であることが分かります。
ただし、上記はあくまで「飲食業界全体の平均値」です。
飲食店の種類や職種によっても、年収の相場は変わります。
【業種・職種別】飲食店の平均年収
下記では業種別・職種別の飲食業の平均年収を一覧にして紹介していきます。
業種別
業種 | 平均年収 |
---|---|
焼き肉屋 | 420万円 |
カフェ | 414万円 |
寿司屋 | 410万円 |
たこ焼き屋 | 405万円 |
うどん屋 | 400万円 |
居酒屋 | 400万円 |
ラーメン屋 | 399万円 |
蕎麦屋 | 398万円 |
レストラン | 390万円 |
喫茶店 | 378万円 |
ケーキ屋 | 353万円 |
パン屋 | 352万円 |
※2024年10月時点
参考:求人ボックス給料ナビ
もっとも平均年収が高い業種は、「焼き肉屋」でした。
客単価が高く、調理の手間がかからないことから、利益を給料に還元しやすいと考えられます。
商品作りに手間がかかるものの、客単価が低くなりやすいパン屋やケーキ屋などは、平均年収も低い傾向にあります。
職種別
職種 | 平均年収 |
---|---|
寿司職人 | 453万円 |
ソムリエ | 428万円 |
料理長 | 425万円 |
バリスタ | 423万円 |
シェフ | 417万円 |
料理人 | 414万円 |
ホールスタッフ | 401万円 |
キッチンスタッフ | 398万円 |
バーテンダー | 395万円 |
パティシエ | 375万円 |
調理スタッフ | 375万円 |
調理補助 | 370万円 |
パン職人 | 368万円 |
※2024年10月時点
参考:求人ボックス給料ナビ
平均年収がもっとも高い職種は「寿司職人」で、453万円でした。
次いでソムリエ・料理長・バリスタと並んでいることから、専門的なスキルや資格が必要な職種の給与が高いことが分かります。
飲食店の福利厚生
飲食店には、おもに下記の福利厚生があります。
- 賞与
- 昇給・昇格
- 残業手当
会社ごとに待遇や制度の内容が異なるため、求人をよく確認したうえで就職先を選ぶことが大切です。
それぞれ詳しく解説します。
賞与
賞与とはボーナスのことで、
一般的に6月と12月の年に2回支給されます。
なお、賞与は必ず支給されるものではありません。
個人店などの小規模店舗などでは、制度そのものがない場合もあります。
また求人票に賞与の記載があっても、経営状況が悪いと支給されないケースもあるため注意しましょう。
金額は企業ごとに異なり、「基本給の3ヶ月分」のように固定されていることもあれば、経営状況によって変動する場合もあります。
会社ごとにルールが違うため、入社を決める前に確認しましょう。
昇給・昇格
飲食店も他業界と同じで、昇給や昇格の制度があります。
査定のタイミングや給与の上がり幅、組織体制はお店によって異なります。
大手企業であれば、半年に1回・1年に1回など、査定のタイミングが決められていることが多いです。
一方法人化していない個人店などは、業績などに応じて都度昇給を告げられるのが一般的です。
飲食店は実力主義の要素が強く、年齢ではなく成果や能力に応じて昇給や昇格が決まります。
年齢やキャリアに関係なく店長などの役職に就くチャンスがあるため、頑張り次第で若い内に高給取りも目指せるでしょう。
残業手当
残業手当とは、正確には下記3つの手当のことです。
- 時間外手当
- 休日出勤手当
- 深夜残業手当
飲食店に限らず、上記は従業員に必ず支払う必要があると法律で定められています。
しかし、支払い方法は勤め先により異なるため、入社前に確認することが大切です。
たとえば、20時間/月3万円のみなし残業代(固定残業代)があらかじめ給与に含まれている場合があります。
その場合、1ヶ月間の残業が20時間未満であれば、別途残業代は発生しません。
また、 22:00〜5:00の間の労働には、深夜労働手当が発生し、基本給に最低25%を上乗せした金額を給与に計上する義務があります。
深夜営業がある店舗に就職する場合は、計上されているか必ず確認しましょう。
そのほかの手当
飲食店の福利厚生には、下記のような制度もあります。
- 交通費
- 各種保険
- 退職金
交通費とは、通勤に使用する電車やバスの費用を企業が負担してくれる制度です。
飲食店では個人の自転車やバイクで通勤することも多いため、その場合も交通費が支給されるか確認しておくとよいでしょう。
ある程度の規模の法人であれば、一般企業と同様に下記のような保険に加入できます。
- 健康保険
- 雇用保険
- 厚生年金保険
- 労災保険
- 介護保険
なお、個人店などでは、自身で加入しなければならないこともあるため注意が必要です。
退職金は、支払いの義務が法律で定められていないことから、企業ごとに有無が分かれます。
退職金がない代わりに、定年時の再雇用制度を設けている場合もあるので、入社前に確認しましょう。
飲食業界で給料アップを狙う方法
飲食店で給与アップを狙うなら、下記4つの方法が有効です。
- 資格を取得する
- 飲食店経営者・オーナーを目指す
- 大手の企業に転職する
- 飲食業界に特化した転職エージェントに相談する
いずれも現実的なプランであるため、目標から逆算して業務に取り組み、適切な努力をすれば叶えられます。
それぞれ詳しく解説します。
資格を取得する
飲食業界で役に立つ資格を取得すると、年収が上がりやすくなります。
有効な資格を表にまとめました。
資格 | 内容 |
---|---|
衛生管理者(第1種・第2種) | 国家資格。労働者の健康障害・労働障害を衛生的観点から防止するために必要な知識を持っていることを証明する。 |
調理師 | 国家資格。調理技術・食に関する専門知識を有していることを証明する。 |
レストランサービス技能士 | 国家資格。レストランなどの飲食店におけるサービスの専門家であることを証明する。 |
野菜ソムリエ | 野菜・果物の知識や適切な調理、素材を活かした盛り付けができることを証明する。 |
ワインソムリエ | ワインの知識やサービス、飲み方に関する専門的な知識や技術を有していることを証明する。日本では民間資格だが、海外では国家資格もある。 |
SAKE DIPLOMA | 日本酒の知識やサービス、飲み方に関する専門的な知識や技術を有していることを証明する。比較的新しい民間資格だが、海外にも普及し始めている。 |
フードコーディネーター | 食やに関する知識を包括的に有し、トータルコーディネートができることを照明する資格。 |
資格を取って、専門的な知識や技術を持っていることを証明できれば、転職活動が有利になります。
また大手企業であれば、資格を取得すると給与に手当がプラスされることもあります。
業務内容や目的に合わせて適切な資格を取得すれば、効率的に年収を上げられるでしょう。
飲食店経営者・オーナーを目指す
独立して経営者になれば、頑張り次第で年収が青天井になります。
飲食店は比較的起業のハードルが低く、経験値とお金さえ貯めれば、簡単に開業が可能です。
高級レストランやカフェなど、年収の相場が高い業種を選んで出店すれば、大きく稼ぐこともできるでしょう。
ただし、甘く見ていると集客に苦しみ、すぐ閉店に追い込まれます。
そのため雇われている間に、業者とコネクションを作る、自分の名前を売るなどの努力は必須です。
また社会情勢やトレンドに左右されやすい業界であるため、出店のタイミングや景気などを考慮して出店計画を練ることが大切です。
大手の企業に転職する
令和4年に厚生労働省が行った調査によると、大手企業ほど従業員の給与水準が高いというデータが出ています。
企業規模 | 平均年収 |
---|---|
大企業 | 386万円 |
中企業 | 331万円 |
小企業 | 308万円 |
したがって同じ業務内容でも、大手に転職すれば給与が上がる可能性があります。
また大手企業は、住宅手当や資格手当など、福利厚生が充実しているケースが多いです。
そのため、雇用条件次第では年収以上に手取り額が増えることもあります。
また、昇給・昇格制度が充実している、退職金制度がある可能性も高いです。
募集要項を確認し、待遇のよい会社を選んで転職すれば、生涯年収を大幅に増やせるでしょう。
飲食業界に特化した転職エージェントに相談する
飲食業に特化した転職エージェントは、条件のよい求人を取り揃えています。
年収アップを希望している旨を伝えれば、目的に応じて現実的なプランを提示してくれるでしょう。
年収を上げるために必要な準備や面接対策など、のサポートも期待できます。
また、募集要項と実際の雇用条件が異なる求人は、意外と多いです。
転職エージェントは、危険な求人や給与が高くても労働環境が過酷な会社などを熟知しているため、安心して転職活動を進められます。
飲食店の転職で求められるスキル
飲食店の転職では、下記のようなスキルが求められます。
- 高いコミュニケーションスキル
- 正確な段取り
- 迅速な対応力
- 幅広い配慮と気配り
- 飲食店での仕事のやりがい
それぞれ詳しく解説していきます。
高いコミュニケーションスキル
飲食店はサービス業です。
お客様に楽しい時間を過ごしてもらうには、美味しい料理を提供するだけでなく、良質な接客も欠かせません。
キッチンスタッフでも、必要に応じてホールに出るケースはあるため、一定以上のコミュニケーション能力は求められます。
また、適切なコミュニケーションが取れない人がいると、スタッフ同士の連携も上手く取れません。
そのため、飲食店では職種に関係なくコミュニケーション能力が必要です。
正確な段取り
飲食店の営業を滞りなく進めるためには、下準備が欠かせません。
たとえば団体の予約が入っている場合、ホール・キッチンともに万全な仕込みを行わないと、直前になって必ず慌てます。
食材が足りない、予約時間までにテーブルを空けられないなどのトラブルも起こりやすくなります。
そのため、数日前から予約状況を把握し、逆算して食材の発注や当日のテーブルセッティングなどを考える段取り力が必要です。
迅速な対応力
不特定多数のお客様が来店する飲食店では、トラブルは避けられません。
お客様が飲みものをこぼすこともあれば、スタッフが料理を落とすこともあります。
「料理を持っているスタッフに子供が突進してきた」など、防ぎようのない事故も実際に起こります。
その際、もっとも大切なのはお客様に不快な思いをさせないことです。
いかなるトラブルでもポジティブに変換し、お客様に気を遣わせない対応力が求められます。
また居酒屋などでは、フランクに話しかけてくるお客様も多いため、あらゆる声かけに対応できる力をみにつけておきましょう。
幅広い配慮と気配り
飲食店における理想のサービスは、お客様が声をかける前に要望を叶えることです。
食事のスピードや飲みものの減り具合を把握し、適切なタイミングで声をかける気配りが大切です。
しかしお客様の中には、声をかけられすぎることを嫌う方も一定数います。
そのため、お客様の好みを見極め、適切な配慮をする意識が大切です。
飲食店での仕事のやりがい
飲食店は業界的に平均年収が低いものの、下記のようなやりがいがあることから人気の高い職業です。
- 一つの店舗を作りあげていける
- チームでお店を回す達成感がある
- 年齢に関係なく昇給のチャンスがある
それぞれ詳しく紹介します。
一つの店舗を作りあげていける
正社員で飲食店に勤務する場合、自分たちの手で目標達成のための計画を立て、実行に移せます。
単に売上を追うだけでなく、顧客満足度やアルバイトの働きやすさを向上させるなど、多角的にお店作りに携われます。
チームでお店を回す達成感がある
飲食店の社員の重要な業務の1つが、アルバイトの管理です。
適切なコミュニケーションで、モチベーションを上げられればお店の発展に伴走してくれます。
スタッフ全員が同じ目標を向いて走れるようにマネジメントできれば、一体感を持ってお店を発展させられます。
スタッフ全員で1つの目標に向かって奔走し、実現できた際の達成感は何にも変え難いものです。
ほかの業界では、それなりの役職に就かないと味わえないやりがいを、飲食業ではすぐに感じられるでしょう。
年齢に関係なく昇給のチャンスがある
飲食業界は、基本的に実力主義です。
コミュニケーション能力が高い、料理のスキルがあるなど、強みがあればすぐに昇給を狙えます。
店舗改善の提案を積極的に行う、スタッフと積極的に会話して空気をよくするなど、自発的に行動すればチャンスを掴みやすくなります。
成果を上げ、店長などの役職に就ければ若くして相場以上の年収に到達することも可能です。
まとめ
飲食店はほかの業界と比べて平均年収が低い傾向にあります。
しかし、それ以上にやりがいが多く、頑張り次第でスピード昇給も見込める魅力的な職業です。
現状の年収に不満を感じている方は、有効な資格を取ったり、条件のよい大手企業への転職がおすすめです。
飲食業界に特化した転職エージェントをたより、面接対策などを行ったうえで転職に臨めば、よい結果が得られるでしょう。
この記事を参考に、飲食業界での転職を成功させてください。
この記事の監修者
洋食転職ガイド編集部
編集部からのメッセージ
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